今年に入って見た映画(2)
前回の続き。
『地獄の黙示録』
2回目。前は民放の吹き替え版で見た。なぜか「ミイラ取りがミイラになる話」と覚えていたのだが、ミイラにはならなかったのね。このあたりの記憶のあいまいさに年を感じる。当時はロバート・デュバルやデニス・ホッパーが出ていたことも知らなかった。戦争の狂気の最終形として世に衝撃をもたらしたこの作品も、日常のそこここで同様の狂気が繰り返される現代においては、薄味になっているなあ、という印象。
初見。サッチャーがどうのこうのよりも、メリル・ストリープすごいなあって映画。
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『007 スカイフォール』
初見。「ダニエル・クレイグのボンドを1回見てみたいなあ」と思って録画したんだけれど、考えてみたら映画をよく見ていた若い時分から007はあまりみてなかった。「なんで007をあまり見てないんやろう」って答えも、今回見て思い出した。人が死にすぎるから。まさしく「だめな映画を盛り上げるために簡単に命が捨てられていく~♪」だ。
初見。「あと2週間で地球が滅びることがわかったら、あなたは何をしますか?」という非常にシンプルなテーマを低予算で実現してみせた点にとても好感をもった。だいたいこのテーマだけでご飯が食べられる。そのとき人はどういう行動に出るのか。自分にしろ他者にしろ予測不能。もっと破壊的になるような感じもするが、案外この映画で描かれたような比較的おだやかな終末になるのかも。「愛する人のところにたどり着くだろう」。作者たちの希望的予測。本当にそうであればいい。
『革命児サパタ』
初見。マーロン・ブランドって、大スターになった晩年の姿しか知らなくて「若い頃ってどんなだったんだろう」って、その1点だけで録画した。「くせがすごい」やね。際立つ個性と力強さ。スターになるわけです。赤狩り前のエリア・カザンの作品という点でも面白い。今ならテロ肯定で公開不可になりそうな作品やね。
『バンド・ワゴン』
初見。アステアの上品なステップが見てみたかっただけ。だいぶ晩年の作品で、堪能するというところまではいかなかったけれど、あの優雅さは誰にもまねできない。天才やね。
初見。ねたー。ストーリーは大まかには覚えているけど。大した話ではなかったね。
『ゲーム』
初見。んな、アホな。このゲーム、アメリカみたいな銃社会で、死人出さずに成立するかな。
『僕達急行 A列車で行こう』
初見。これが遺作なんて、悲しすぎるぜ、森田芳光!死期がわかってたんかなあ。明らかに原点回帰なんやけど、あの独特の間合いも、今となってはくすりとも笑えない。それはなぜなんだ?時代か?見る側の変化か?いずれにせよ、単なる昭和の添え物映画風にしか映らなかった。それもすごいへたくそな。なんかもう悲しくなったよ。森田監督、ファンやったのに。。
『駅 STATION』
多分初見。いしだあゆみの敬礼の映像は、テレビ放映があった学生時代に何度も見た気がする。その頃に見ても響いたかどうかわからないが、今見みると響く映画だった。特に倍賞千恵子がよかった。ああいう大人の恋、すてきやわあ。
初見。フォーサイスのファンだったから、小説は読んでる。でもすっかり忘れてる。お父さんのくだりなんかあったかなあ。まあ、忘れてることは幸い。あの緻密なフォーサイスの小説を詠んだ直後なら、多分物足りなかっただろうから。なんかセキュリティの甘いところと緊張感を強いられる厳しい環境との差が激しいね。最後の城なんか、簡単に入れ過ぎやろ。その辺が尺の足りない映画のもどかしさかな。
今のところ以上です。
今年に入って見た映画(1)
1月に大学時代の友達に「映画見てる?」と聞かれて、自分なりに理由はあるにせよ、やっぱり見てないことに恥ずかしさを感じた私は、それ以降、NHK BSの映画プログラムをチェックし、気になるやつは片っ端から録画、休日を使ってこれを見倒している。この5か月でなんと23本。全く見てなかったから、自分的にはこれはすごい数字。
昔は「映画館で見ないと1本と数えない」とかこだわりがあったけれど、今はそんなのどうでもいいし、見たい役者や監督もない(最近の映画事情に全くうとい)ので、新しいのや古いのがごちゃ混ぜでくるBSプレミアムは、今の私にはちょうどいい。
ところが、見た映画のタイトルは書きためていってるけど、内容をすぐに忘れる。何を感じたかは言わずもがな。やっぱり映画も見るだけじゃ意味がない。少しは咀嚼して消化する必要があるなあと。そこで、簡単に感想を書いていこうと思う。1行でも2行でも。これで消化と言えるかどうかはわからないけど。
これも義務化するとしんどいので、できるだけ、というスタンスで。
初見。作った人たちがどんななんかなんて関係ないっちゃ関係ないけど、私は「Facebook、やってなくてよかった」って思った。
『クヒオ大佐』
初見。詐欺師ってほんと何考えてるんやろ。すごい興味深い。もう少し掘り下げてほしいなあと思った。
『帰郷』
初見。前から見たかった作品をやっと見たのに、もう内容がぼんやりしている。「ジェーン・フォンダの映画やなあ」と思った。
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
初見。好印象を持ったけど、もう薄れてる。柴咲コウがよかった。
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』
3回目。なんか笑えんのよね。重いテーマを皮肉ってるわけだからってわけじゃなく、笑いの要素が少ないし、ピーター・セラーズの役がはじけてないんやもの。私は『未知への飛行』の方が好きやな。
3回目。エンターテインメントとしてよくできているので好きな映画。マルコヴィッチがきもくていい。
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『新幹線大爆破』
初見。旅行のバスでよく流されてたイメージがあるけど、頭からちゃんと見たのは初めて。新幹線の制御室なんかで時代を感じるわけだが、そういった時代に作られた作品としては(そりゃ細かいツッコミどころはたくさんあるけれど)エンターテインメントとしてすごくレベルが高いと思う。
2回目。1回目のときは、ジャック・レモンの役に相当感激したが、年をとったのか、2回目はそうでもなかった。
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『アルゴ』
初見。この映画の存在も、アメリカとイランの不仲の原因も知らなかったので、私にとっては見たことの価値は高い。サスペンスとしても面白かったけれど、実話なんで面白くしすぎるのもどうかと思う。特にラストの空港のシーンはやりすぎでは?
『ペーパー・ムーン』
2回目。大学時代にこの映画を見たわけだけれど、どんな映画だったか全く記憶がない。今回見て、ストーリーだけじゃなく、当時の感想も思い出した。2回目見ても、同じことを思ったからだ。「あのときも確かそう思った」って。「ほのぼのとしたハッピーエンドで終わるけれど、彼らは今後も詐欺を続けていくわけでしょ。なんかそれ、どうなの?」って。
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『アーティスト』
初見。『雨に歌えば』の背景と似てるよね。犬のかしこさが秀逸だった。
『婚前特急』
初見。あのぶさいくな俳優、誰なの?って今朝ドラに出てるよね。あれとハッピーエンドかい!軽っと見られた。
鯉のぼり
いい天気で自転車散歩してたら、よその家の鯉のぼりが優雅に泳いでいました。
今年に入って読んだ本
ここに書くようになってからは、自分に義務は課してないけれど、読んだ本や見た映画の感想はなるべく書くようにしたいと思っています。
今日は、今年に入って読んだ本の感想を一気にアップします。
『低地』
アメリカに移住したインテリインド人という設定はこの人の定番だが、今回はカルチャーギャップには重きをおいておらず、血縁とか夫婦とか、国という概念にとらわれない普遍的な人間の関係性に、よりスポットを絞り込んだ作品。愛し合った夫婦、利害で結びついた夫婦、血のつながった母娘、血のつながっていない父娘。思い返せば彼女の作品はずっとそうだったけど、「結局人間はひとりなんだ」ということを強く意識させられる。
これまたいつものことですが、孤独を強く感じる作品。心がつながっている二人を描いても、孤独の暗闇がいつもつきまとう村上作品。彼の作りだす世界や独特の表現は唯一無二だけど、どうしてこんなにも孤独感の強い作品に皆、そして私自身も、惹かれるのかよくわからない。妄想時間における今後のテーマだ。
『64(ロクヨン)』
話は退屈せずに読めたけれど、「何を必死になってんの?」という冷めた感じで読んでいた。主人公がその熱い思いで守ろうとしたり、怒りを感じたりする対象、警察組織って一体なんなん。小説が描いている時間の中で、主人公はほとんど寝てないよね。そこまでする必要あるの?犯人を上げるため、娘を探し出すため、ならわかるけど。彼の熱意の矛先は、この小説の中ではそこじゃないよね。なんか理解できん。
『新釈 走れメロス』
最近よく読む森見登美彦。最初はあんまり好きでなかったのに、京都によく行くようになって、親近感を覚えているのだろうか。でも、このばかばかしさが、難しめの本を読む間の息抜きにちょうどいいって感じるようになってきた。小説でこういうコメディって実は難しいと思うんよね。その辺もちょっと見直してきた。
『ハーモニー』
斜め読みした。だって言葉がわからんのやもん。あのタグはなんなん。核戦争(戦争とは違うか)後の世界観としては面白いと思うところもあるけれど、どうしてああいう難しい表現を使わなければならないのだろう。それだけでゲームの世界にいっちゃってリアリティや一般性を欠いてしまうように思う。アーサー・C・クラークが『2001年宇宙の旅』で、誰も覗いたことのない宇宙の果てをシンプルな言葉で表現したように、この世界観だってシンプルに描けばもっとすごみが出たのではないかと思うのだ。
『ミュージック・ブレス・ユー!!』
津村記久子は、私の好きな作家第一位くらいまで上り詰めてきているけれども、何で好きなのかこれまで整理できずにいた。で、この作品の解説で「何も持たない人たちが主人公」という記述があった。「持たない」ということに具体的な説明はなかったが、権力や金や美貌や特別な能力などという意味であろう。いわゆる人が社会で生きていく中で武器となりうるもの。それを彼らは持っていない。なるほど。でも、私が津村作品に惹かれているのは、逆に彼らが共通して持っているものの中にあるように思う。それではっとした。それは、まっとうな道徳観であり、正義である。それはこの作品の中でも何度となく出てくる。文化祭での男子閉じ込め事件や、たばこポイ捨てお姉さんのバッグに、投げ捨てられた火のついたたばこを拾ってしれっと入れるなんて行為。学校では主流でない彼女たちのささやかな抵抗は、みな「そんなんおかしいやろ」という正しい感性に基づいている。考えてみれば『君は永遠に…』も『アレグリア…』も『エブリシング…』もみなそうだ。昔は、大上段で正義を構え社会悪や権力と戦う主人公たちを描いた映画が好きだったけれど、なんの力も持たない人たちのささやかな正義の行動に心動かされるというのは、年をとったということなのだろうか。
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『暴走』
安定のディック・フランシス。派手さはないけど、きっちりしているところが好き。ミステリーやサスペンスはそこが大事。この作家を知った偶然を喜んでいる。
花見ウォーキング
3/26と4/2、2週にわたって京都の東山をウォーキングしました。もちろん桜ウォッチングを兼ねて。3/26はまだ一部しか咲いてなくて、翌週リベンジした形。4/2は、どこも満開でした。天気がちょっとぱっとしなかったけど。
コースはほぼ同じ。哲学の道から南禅寺、インクライン、円山公園(4/2のみ)。ちょっと前に森見登美彦の『新釈 走れメロス』を読んで、これはいかなければと。
小説の舞台になっている哲学の道の桜は確かに圧巻なのですが、それ以上に圧巻なのは、人の多さ。特に外国人。日本人より多いくらい。もともと狭い道。ウォーキングにはならないですよね。ゆるっと散歩に切り替えました。
こちらはインクラインのビフォー・アフターです。
円山公園も人だらけでした。ここで一服。枝垂れ桜もスカッと晴れた空の下だったらよかったのですが。京都に簡単にこれるってのに贅沢ですかね。